家族の介護により経口摂取が可能となり, 胃瘻から脱却した症例

  • 松香 芳三
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野
  • 笈田 育尚
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野
  • 熊田 愛
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野
  • 縄稚 久美子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野
  • 西山 憲行
    姫路医療生活協同組合共立歯科
  • 菊谷 武
    日本歯科大学口腔介護・リハビリテーションセンター
  • 窪木 拓男
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Removal of Percutaneous Endoscopic Gastrostomy<BR>Tube after Returning to Oral Feeding by Family Care

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抄録

摂食・嚥下機能が低下している高齢患者において, 胃瘻を造設することにより胃腸の機能を残存させながら栄養管理が可能となる。しかしながら, 胃瘻には種々の問題点が存在するため, 胃瘻の早期脱却を目標にして, リハビリテーションを実施するべきである。今回, 胃瘻造設を行ったが, 家族の介護ならびに義歯作製によって経口摂取が可能となり, 胃瘻脱却が可能になった症例を経験したので報告する。<BR>患者は脳梗塞, 老年性認知症を原疾患として有していた82歳女性であり, 認知症のために, 自発的な摂食行動はみられず, 食物を口腔内に溜め込み, 嚥下運動に移行しにくい状況であった。摂食・嚥下機能の回復が十分に認められたため, 胃瘻造設術が実施された。また, 同時期に旧義歯の適合不良のため, 家族から義歯作製を依頼され, 全部床義歯を作製した。義歯作製により, 家族の食介護に対するモチベーションが向上し, 積極的に経口摂取を進めるようになった。その結果, 全量経口摂取することが可能となり, 胃瘻から脱却することが可能となった。観察期間を通して, 血清アルブミン値の大きな変化はみられなかったが, 義歯装着後には体重増加が観察され, 胃瘻脱却後も体重は維持されていた。その後, 摂食・嚥下に対する直接訓練が効を奏し, 自分で摂食する場面も観察されるようになった。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 24 (2), 91-96, 2009

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

参考文献 (23)*注記

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