高齢者における口腔感染症について

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  • Oral infection of geriatric patients.

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抄録

65歳以上の高齢者の口腔感染症入院患者, 男性20名20症例 (平均年齢77.2歳), 女性16名17症例 (平均年齢74.4歳), 計37症例の疾患別症例数, 原因, 基礎疾患の有無種類, 臨床検査値 (WBC, Segment, RBC, HGB, HCT, Glucose, S-GOT, S-GPT, Urea-N, Creatinine, Albuminなど) の経過などについて調べたので報告する。<BR>1. 口腔感染性疾患の種類は顎骨炎17例, 骨髄炎7例, 蜂巣炎10例 (口底炎5例), 腐骨1例, 膿瘍1例, 濾胞性歯嚢胞二次感染1例がみられた。<BR>2. 原因は埋伏智歯によるものが多い。2/5 (顎骨炎, 骨髄炎では1/2) を占めていた。<BR>3. 基礎疾患は男性の全て, 女性の約90%にみられた。 (高血圧19例, 糖尿病5例, 心疾患5例, 脳神経疾患3例, 肝疾患4例, その他の疾患6例) 。<BR>4. 臨床検査によって貧血が男性では55%, 女性では35%みられ, また35%の男性に低アルブミン血症がみられた。<BR>5. 糖尿病, 肝疾患を有する患者にとくに重症例が多くみられた。<BR>6. 初診時の全身状態として脱水症状が12症例 (32.4%) にみられた。<BR>7. 感染症症状の程度判定には脱水に影響されないCRPの検査が有用と思われた。<BR>8. 脱水によって貧血が不明のことがあり, また高Uear-N, 高Creatinine, 高Glucoseがみられた。<BR>以上から高齢者の口腔感染症の治療にあたっては詳細な問診と診察および臨床検査は重要であり, 検査結果の正確な判断を要し, また, 予防には青壮年期における口腔衛生が重要であるが, 不要な埋伏智歯は青壮年期の抜去も大切であると考えられた。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 3 (1), 80-85, 1989

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

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