摂食嚥下指導における簡易CRP測定器の有用性

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タイトル別名
  • Usefulness of Using Simple CRP Inspection Equipment in Swallowing Guidance

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説明

<p> 摂食嚥下障害により誤嚥が起こると,炎症が生じることがある。今回,簡易CRP測定器の使用が摂食嚥下指導の一助となった症例を経験したので報告する。</p><p> 症例1は79歳の男性。食事中のむせが目立つようになり,平成28年12月中旬過ぎにCRPの測定を行ったところ3.5 mg/dLで中等度の炎症反応を認めた。摂食嚥下指導の結果,むせなどの症状は改善したが,翌年の1月上旬にCRPを測定したところ,3.7 mg/dLで依然炎症を認めたため,看取り対応に移行していくよう伝えた。その後同月の下旬,再度CRPの測定を行ったところ,20 mg/dL以上(測定器の上限)という結果となったため,本人の希望を聴取しながら食べたいものを中心に摂取させるよう指示した。そしてその翌朝,苦しむことなく眠るようにして亡くなっていった。</p><p> 症例2は90歳の女性。食事中のむせが目立つようになり,平成28年11月中旬CRPを測定したところ,2.9 mg/dLと中等度の炎症を認めたため摂食嚥下指導を行った。その後むせは減少し,同年12月上旬CRPを測定したところ0.8 mg/dL未満(測定器下限)という結果になったため,前回行った指導で問題ないと判断した。その後も安定した状態が続いたので,患者の希望に合わせ食形態を変更し,その都度定期的にCRPを測定し炎症が認められないことを確認することで,その変更が問題ないか判断していった。</p><p> 本症例により,簡易CRP測定器を摂食嚥下指導に用いることは有用である可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 32 (2), 102-109, 2017

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

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