脂漏性角化症病巣内に発生したBowen病の1例

  • 緋田 哲也
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野
  • 松立 吉弘
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野
  • 村尾 和俊
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野
  • 久保 宜明
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部皮膚科学分野
  • 飛田 泰斗史
    大崎皮膚科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of Bowen's disease arising in a region of seborrheic keratosis

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抄録

73歳,女性。以前より左下腿外側に淡褐色の結節を自覚していたが,徐々に隆起してきた。地元の皮膚科医院で生検を受け,有棘細胞癌が疑われたため当科に紹介された。左下腿外側に14×13mmの不整形,扁平に隆起する角化性の淡褐色局面を認めた。摘出標本の病理組織では,病変は全体に好塩基性に染まる表皮細胞の増殖より成っていた。腫瘍の辺縁部は,異型性のない表皮細胞の増殖であり,偽角質嚢腫などを認め,脂漏性角化症の像であった。これに対し腫瘍の中央部は極性の乱れた,核の異型性を伴う表皮細胞が表皮全層性に増殖し,異常角化細胞も認めBowen病の所見を呈していた。同部では辺縁に比べKi67が強く発現していた。以上の組織所見から脂漏性角化症内に生じたBowen病と考えた。稀ではあるが良性の脂漏性角化症内にBowen病などの悪性病変を生じる事は,以前より報告されており,念頭に置いておく必要がある。

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参考文献 (4)*注記

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