マツノザイセンチュウに感染したクロマツ苗木に生成される異常代謝産物

  • 二井 一禎
    Laboratory of environmental Mycoscience, Graduate School of Agriculture, Kyoto University

書誌事項

タイトル別名
  • Abnormal metabolites in pine wood nematode-inoculated Japanese black pine

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クロマツ苗木の主軸部にマツノザイセンチュウを接種した時、異常代謝産物が生産される。これら物質の化学的な特性を、吸光スペクトル、ペーパークロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどの方法を用いて調査した。また、線虫接種後のこれら物質の動態を明らかにするため、接種点からの距離と接種後の時間を変えてその量と、線虫個体数を調査した。一つの物質は吸光スペクトルのピークが278nm付近にあり、このピークは自動酸化により小さくなるが、1Nの水酸化ナトリウムを添加すると287nmへとピーク位置が移動する。この物質は組織の褐変と関係があり、自動酸化が進むと次第に色は濃くなる。また、この物質はマツノザイセンチュウの個体数増加にともない増加するので、線虫感染に関係して生産された物質であると考えられる。これらの性質から、最も大量に生産される物質はポリフェノール類の一種で、縮合型タンニンの前駆体であるカテキンに類似の物質であることが明らかになった。

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