関節リウマチにおけるヒアルロン酸の合成と分解について

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Hyaluronan metabolism in patients with rheumatoid arthritis

この論文をさがす

抄録

目的:ヒアルロン酸(HA)は分子量によって異なる機能を持つとされる.筆者らは関節リウマチ(RA)患者の滑膜組織におけるHA合成酵素(HAS-1,2,3)とHA分解酵素(Hyal-1,2,3)について検討し,さらに関節液や血液を含めてHAの代謝について検討した.<br> 方法:関節液中のHA分子量をGPC-MALLS法にて測定し,hyaluronidase活性はHA添加ゲルによるzymographyから酵素活性として定量化した.さらに滑膜におけるHA合成酵素およびHA分解酵素について組織学的に検討し,関節液と滑膜での結果を比較した.<br> 結果:RAで炎症が高度な滑膜では,低分子HAを産生するHAS-3およびHyalが増加し,高分子HAを産生するHAS-1,-2は減少していたが,HAS-3やHyalの陽性細胞数は滑膜の炎症の程度と相関していた.また,RA患者の関節液中のhyaluronidase活性は関節液中のHA分子量と負の相関を示し,滑膜におけるHyals陽性細胞数と関節液中のhyaluronidase活性には正の相関が見られた.また,滑膜中のHAS-3やHyalの陽性細胞数と関節液中のHA分子量は負の相関を示していた.<br> 結論:RAの炎症性滑膜ではHAS-1,2が減少する一方で,HAS-3とHyalが増加し,HAの低分子化がなされる.HAの低分子化は,RA患者の関節への物理的障害のほかに炎症性細胞の遊走や血管新生,サイトカインの活性化などによる関節炎の持続にも影響を与えるものと考えられる.

収録刊行物

  • 臨床リウマチ

    臨床リウマチ 22 (3), 337-343, 2010

    一般社団法人 日本臨床リウマチ学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ