関節リウマチの各臨床的評価法(DAS28-ESR,CDAI,SDAI, Boolean基準)を用いたトシリズマブの有効性の検討

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  • A comparison of clinical evaluation methods (DAS28-ESR, CDAI, SDAI and Boolean’s remission standard) of disease activity in patients with rheumatoid arthritis treated with tocilizumab

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目的:2011年1月にACR/EULARにより新たな臨床的寛解の定義が発表された.IL-6阻害剤であるトシリズマブ(TCZ)の有効性を評価するとともに,各臨床的評価法(DAS28-ESR,CDAI,SDAI,Boolean)の比較検討を行う.<br> 対象・方法:当院においてTCZを導入した関節リウマチ(RA)患者33例を対象とした.平均年齢57.1歳,平均罹病期間13.4年,生物学的製剤既往は25例であった.結果:TCZ 投与開始時,12週時,24週時のDAS28-ESR(DAS)は5.0±1.2,2.4±1.3,2.2±1.3,CDAI は21.1±9.6,10.1±7.9,8.1±7.0,SDAI は23.5±10.0,10.1±7.9,8.2±7.0で,いずれの評価法においても投与開始時と比較して12週,24週時に有意に改善した.TCZ投与24週時の寛解率は,DAS2873.3%,CDAI 20.0%,SDAI 23.3%,Boolean 23.3%であり,DAS28寛解率は他の3種類の評価法による寛解率の約3倍であった.DAS28寛解率はCDAI,SDAIの寛解と低疾患活動性を加えた症例数とほぼ同じであった.<br> 結論:2011年に新たに提唱された寛解基準は厳しい基準であるといわれている.今回のTCZの評価では,新しい評価法の寛解率はDAS28の寛解率の約1/3であった.CDAI,SDAI,Booleanの寛解率に有意差はなかったが,CRP,ESRを含まないCDAIの寛解率がもっとも低い傾向にあった.各評価法の特徴を熟知して,寛解を評価する必要がある.本報告のTCZの有効性はDAS28を用いた他の報告とほぼ同等あるいはそれ以上の治療成績であり,いずれの臨床的評価法においても高い有効性を示した.

収録刊行物

  • 臨床リウマチ

    臨床リウマチ 24 (3), 186-192, 2012

    一般社団法人 日本臨床リウマチ学会

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