ネリカ普及の現状とその課題

書誌事項

タイトル別名
  • Current State and the Future of NERICA's Dissemination:
  • ネリカ普及の現状とその課題--ギニアにおける普及プロジェクトを事例として
  • ネリカ フキュウ ノ ゲンジョウ ト ソノ カダイ ギニア ニ オケル フキュウ プロジェクト オ ジレイ ト シテ
  • A Field Survey of NERICA's Dissemination Projects in Guinea
  • ギニアにおける普及プロジェクトを事例として

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抄録

アフリカの不良環境に対する数々の耐性とアジアイネの多収性を併せ持ち,アフリカにおける「緑の革命」を担う新品種として有望視されるネリカは,1990年代後半から西アフリカ諸国を中心として普及が開始され,現在でも多くの普及プロジェクトが継続されている。その栽培面積は2006年時点で約20万haと見積もられているが,ネリカの品種特性や普及の現状については明確な情報が不足していることもあり,今なお不明な部分が多い。<br>本稿では,ギニアにおけるネリカ普及プロジェクトサイトにて実施した農家経営調査を通して,ネリカ普及の実態に接近するとともに,在来品種と比較した収益性や農村社会におけるネリカの位置づけを考察する。調査分析の結果,プロジェクトによる肥料の提供と種子の買い取りによりネリカ栽培に一定の収益性は認められるものの,肥料・除草剤の投入効果が低いこと,支援に頼ることなくネリカ栽培を自立させている農民は多くはないことが確認された。一方で,ネリカの生育期間の短さは「飢餓期」を克服し得る最大の長所であり,地域社会の食料安全保障と農村生活の質の向上に貢献することが期待される。今後ネリカの普及を進展させるためには,種子・肥料の提供を中心とする面的拡大を優先した現状の普及活動から,研究機関への協力と栽培適地における技術移転を優先した支援活動への変換が求められているといえる。

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