遠位胆管粘液癌の1例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A case of mucinous carcinoma of inferior common bile duct

この論文をさがす

抄録

<p>症例は72歳,男性.食欲不振を主訴に前医を受診し,胆管腫瘍を指摘され紹介となった.超音波検査では,遠位胆管に低エコー腫瘍を認め,CT検査では,遠位胆管に遷延性の造影効果を示す全周性の壁肥厚像を認めた.MRI検査では,壁肥厚部はT2強調画像で低信号であった.以上より,遠位胆管癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.肉眼的には遠位胆管に16×15mmの結節浸潤型病変を認めた.病理組織学的には,胆管壁は粘液湖と粘液産出腫瘍に占められており,粘液湖内に小塊状の腺癌細胞が浮遊していた.また胆管壁の一部には,印環細胞癌が認められた.粘液癌成分が腫瘍の50%以上を占めており,遠位胆管原発の胆管粘液癌と診断した.肝外胆管原発の粘液癌は非常にまれであり,一般的に粘液癌では,腫瘍細胞の細胞増殖能は低いとされているが,本症例では一部に印環細胞癌の所見を認めることから,慎重な経過観察が必要と考えられた.</p>

収録刊行物

  • 胆道

    胆道 30 (4), 763-768, 2016

    日本胆道学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ