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説明
脾門部付近に見出される腫瘤性病変の診断は困難な場合が多い。今回われわれは興味ある症例を経験したので報告する。症例は60歳の女性で主訴は特になく腹部超音波検査にて偶然に脾門部付近の腫瘤を指摘された。血液検査所見は軽度の肝機能異常を認めた。画像診断を総合すると脾門部に径7cmの境界明瞭な充実性腫瘤を認め, 血流が豊富であった。悪性の間葉系腫瘍を疑い開腹手術を施行したところ, 腫瘤は脾動脈から分岐した太い栄養血管を有する6×6×3cmの充実性のものであった。病理組織学的には脾組織が認められ, 巨大な副脾であると診断された。背景に血液疾患や肝硬変を有せず, 数cm以上に腫大した副脾は非常に稀である。大きな脾門部腫瘤の鑑別診断に際して考慮されるべきであると同時に圧迫症状がみられる場合や悪性化の可能性が否定できない場合には, 摘出術を行わざるを得ないと考えられる。
収録刊行物
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- 日本外科系連合学会誌
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日本外科系連合学会誌 21 (5), 907-910, 1996
日本外科系連合学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204348363520
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- NII論文ID
- 10012369866
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- NII書誌ID
- AN00002502
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- ISSN
- 18829112
- 03857883
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可