天草の転石地潮間帯における藻食性貝類の糞の無機質含有率

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タイトル別名
  • Inorganic Content of Faeces in Molluscan Grazers Observed on a Boulder Shore at Amakusa
  • 天草の転石地潮間帯における藻食性貝類の糞の無機質含有率〔英文〕
  • アマクサ ノ テンセキチ チョウカンタイ ニ オケル ソウショクセイ カイルイ

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抄録

藻食性貝類では一般に, 梁舌型歯舌を持つカサガイ類は, 扇舌型歯舌を持つ巻貝類よりも摂食時に基質を強く削るので, 糞の無機質含有率が高いと期待される。この仮説を検証するため, 天草の転石地潮間帯で9種(イシダタミガイ・アマオブネガイ・コウダカアオガイ・ホソスジアオガイ・クモリアオガイ・ヒメコザラガイ・ケハダヒザラガイ・スガイ・アオガイ)の藻食性貝類について糞の無機質含有率を測定した。標本は, 高・中・低の3潮位からとり, 種内・種間の比較を行った。低潮帯で採集されたイシダタミガイは, 高・中潮帯から得られたものより無機質含有率の高い糞を排泄した。高潮帯での種間比較では, イシダタミガイの糞はアマオブネガイやコウダカアオガイの糞より無機質含有率が高く, 低潮帯では, イシダタミガイとスガイの糞がアオガイの糞より無機質含有率が高かった。このように, 扇舌型の巻貝類が梁舌型のカサガイ類よりも高い無機質含有率を示し, 先の仮説と異なる結果が得られた。これは, 藻食性貝類が転石表面に堆積した粘土などの無機質を摂食した可能性があると考えられるが, 直接的な証拠はない。藻食性貝類の摂食様式について, さらに研究が必要である。

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参考文献 (20)*注記

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