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- 中原 皓
- Department of Oral Anatomy, Josai Dental College
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- 筧 光夫
- Department of Oral Anatomy, Josai Dental College
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- ベーベランダー G.
- Bermuda Biological Station for Research
書誌事項
- タイトル別名
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- Fine Structure and Amino Acid Composition of the Organic "Envelope" in the Prismatic Layer of Some Bivalve Shells
- 二枚貝貝殻の稜住層中のエンベロープの微細構造とアミノ酸組成〔英文〕
- 2マイガイ カイガラ ノ リョウジュウソウチュウ ノ エンベロープ ノ ビサイ
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抄録
二枚貝の稜柱層は, 貝殻表面に対して垂直に並ぶ稜柱と, それらの間隙を満たす有機質の稜柱間壁から成る。稜柱は微細な炭酸カルシウム結晶の集合体で, 各小結晶は有機質の薄膜(エンベロープ)でおおわれている。このエンベロープは稜柱層の形成時に成長途上の結晶の表面をおおっていたものである。今回, 以上のような稜柱層有機質の微細構造を, 透過および走査電子顕微鏡により再確認し, さらに二種の有機質(稜柱間壁とエンベロープ)のアミノ酸分析を行った。材料としては, ウグイスガイ科のPinctada radiataとPinctada margaritifera(クロチョウガイ), シュモクアオリガイ科のIsognomon alatus, ハボウキガイ科のAtrina pectinata(タイラギ)とPinna carneaの5種の貝殻を使用した。稜柱層の小片を2規定塩酸で処理すると, 稜柱間壁は形を崩さずにそのまま残るが, 稜柱内有機質は炭酸カルシウムの溶解によって細片となって遊離し, 同時に発生する炭酸ガスの泡によって外に出され塩酸中に浮遊する。この遊離した稜柱内有機質は電子顕微鏡によって主としてエンベロープであることが確認された。一方, 残った稜柱間壁には, それに伴うエンベロープの残留は認められなかった。双方の有機質のアミノ酸組成を調べた結果, 稜柱間壁にはグリシン, チロシン, システイン(シスチン)が多く, 稜柱内有機質(エンベロープ)中にはアスパラギン酸が極めて多く検出された。石灰化組織における結晶の形成に関して, アスパラギン酸を多く含む物質が重大な役割を果たす, と云う考え方が一部の研究者によって提出されている。今回, 成長中の結晶表面に常に密着し, それを取り囲んでいるエンベロープ中に高濃度のアスパラギン酸を検出した。この結果は, エンベロープが結晶核の生成と結晶の成長に直接関与する構造であることを示唆している。
収録刊行物
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- 貝類学雑誌
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貝類学雑誌 39 (3), 167-177, 1980
日本貝類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204352866560
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- NII論文ID
- 110004764250
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- NII書誌ID
- AN00410236
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- ISSN
- 24329967
- 00423580
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- NDL書誌ID
- 2197191
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可