サザエとバテイラにおける真珠層成長表面の電子顕微鏡による研究

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タイトル別名
  • An Electron Microscope Study of the Growing Surface of Nacre in Two Gastropod Species, Turbo cornutus and Tegula pfeifferi
  • サザエとバテイラにおける真珠層成長表面の電子顕微鏡による研究〔英文〕
  • サザエ ト バテイラ ニ オケル シンジュソウ セイチョウ ヒョウメン ノ デ

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抄録

腹足綱における真珠層の表面は, 多くの場合, 板状のアラレ石結晶がピラミッド形に積み重ねられた構造(stack)を示す。その形成機構については現在二つの対立する考え方がある。一方の説によると, 有機質の隔壁(sheet)によって作られるcompartmentが先ず形成され, 結晶はcompartment中で成長する。他方の説は, 結晶と有機質の層は交互に形成され, compartmentは形成されない, と考えている。今までに出された報告は, 主として走査型電子顕微鏡によるものであった。今回著者はサザエとバテイラの真珠層成長表面を, 主として透過型電子顕微鏡(超薄切片法)を用いて観察した結果, 結晶形成に先立って, 重層のcompartmentの形成を明瞭に認めることができた。compartmentを構成する有機質の隔壁は, 真珠層表面に対して平行に, ほぼ一定の間隔(0.45∿0.6ミクロン)で配列する。stackを構成する個々の結晶は, compartment中で側方に向かって成長する。表面に近い部位(外套膜上皮に接する部位)ではsheetの間隔が深部に比べて小さく, 構造が不規則となり, 最表層では未だsheet状の構造を示さない密度の高い層が存在する。結晶の形成開始は, このような表層の, 狭い間隔で配列したsheetの間で行われる。成長途上の結晶は, 形成開始直後のものを含めて, 常に電子密度の高い薄膜状構造(envelope)によって被覆されている。

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