下顎に対する理学療法が咀嚼動作に及ぼす影響

  • 楓 公士朗
    松本歯科大学矯正学講座
  • 後藤 崇晴
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面補綴学分野
  • 田中 佑人
    大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座歯科補綴第二教室
  • 菱川 龍樹
    北海道大学大学院歯学研究科顎機能医療学講座
  • 藤野 智子
    大阪歯科大学有歯補綴咬合学講座
  • 前田 望
    北海道大学病院歯科診療センター咬合系歯科 A 診療室
  • 村上 大輔
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野
  • 米田 博行
    東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野
  • Alexander Wirianski
    The Jaw Function and Orofacial Pain Research Unit, Faculty of Dentistry, University of Sydney Division of Aging and Geriatric Dentistry, Tohoku University Graduate School of Dentistry
  • 小嶺 祐子
    東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野
  • 服部 佳功
    東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of physiotherapeutic exercise of the jaw on chewing movements in humans
  • カガク ニ タイスル リガク リョウホウ ガ ソシャク ドウサ ニ オヨボス エイキョウ

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説明

理学療法,とりわけ運動療法は,筋骨格系の慢性疼痛性疾患の重要な治療法のひとつであるが,同じカテゴリの疾患である顎関節症における運動療法の応用は一般的ではない.運動療法が顎筋活動に及ぼす影響が明らかでないことは,その理由のひとつであろうと推察される.本研究の目的は,下顎基本運動に関わる運動療法が咀嚼動作に及ぼす影響を明らかにすることにある.顎口腔系に機能異常のない成人14名を無作為に訓練群と対照群の2群に分けた.一口量(10g)の米飯を片側咀嚼し,嚥下するまでを1試行とし,5試行からなるセッションを,10分を隔てて2度行い,その間の下顎運動を記録した.訓練群では両セッション間に運動訓練を実施した.訓練は,被験者に命じた下顎側方偏心運動に,オトガイ付近に手掌の力で抵抗する,等尺性抵抗訓練を用いた.その結果,訓練群においては訓練前後の2セッション間で,咀嚼側方向への最大側方変位量と前頭面内での平均開口方向に有意差を認め,訓練後に側方変位量が増し,開口方向がより咀嚼側方向に偏ることが示された(ともに p=0.028).以上の知見は,訓練が咀嚼に伴う筋活動パタンの変化を示唆するものであり,今後,運動訓練に期待される長期効果を対象とする研究を行うことの妥当性が示された.

収録刊行物

参考文献 (34)*注記

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