環境中のケロジェン及び腐植物質の熱分解及び化学分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法と地球化学への応用

書誌事項

タイトル別名
  • Pyrolysis- and Chemical Degradation-GC/MS Analyses of Environmental Kerogen and Humic Substances and Their Applications to Geochemistry
  • カンキョウ チュウ ノ ケロジェン オヨビ フショク ブッシツ ノ ネツ ブンカイ オヨビ カガク ブンカイ ガス クロマトグラフィー シツリョウ ブンセキホウ ト チキュウ カガク エ ノ オウヨウ

この論文をさがす

説明

腐植物質あるいはケロジェンと呼ばれる褐色の高分子又は難分解性の有機物は,水環境や土壌環境に普遍的に存在し,環境中で炭素サイクル及び物質循環に重要な役割を果たしている.これら高分子有機物の化学構造,形成や変化過程を明らかにすることは極めて重要であるが,いまだよく分っていない.特に分子的な特徴の解析は,これらの有機物が溶媒に不溶であることや複雑な巨大分子であるために困難な状況にある.本総説では,これら高分子有機物の分子的特徴を把握するうえで一般的になってきた3種類の分析法,すなわち熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(py-GCMS),水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)添加後の熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(py-TMAH-GCMS),及び特定化学結合の選択的切断を意図した化学分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(化学分解-GCMS)について述べた.Py-GCMS及びpy-TMAH-GCMSは,少量試料の分析に使用されている.py-GCMSは,熱分解において非極性あるいは微極性の化合物(例えば炭化水素)を生成する物質(例えば堆積岩中のケロジェン)の分析に適している.酸素や窒素等のヘテロ原子官能基を含む物質は,熱分解によって極性の高い化合物を生成しがちであるために,新鮮な腐植物質の分析には適さない.この欠点を克服したのがpy-TMAH-GCMSである.この方法では,試料中のエステル結合,アミド結合,エーテル結合が切断され,同時にメチル誘導体化が行われる.そのため生体高分子有機物(例えばリグニン,タンパク質,炭水化物及び脂質)から生成する高分子有機物の特徴づけに使用される.このほか,難分解性有機物中のS-C結合,エーテル結合,二重結合あるいは芳香族環に結合した置換基など,異なるタイプの結合を効率よく切断する方法として,一連の化学分解-GCMSについても述べた.<br>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 56 (2), 71-91, 2007

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (208)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ