脂肪酸9-アンスリルメチルエステル誘導体の高速液体クロマトグラフィー/質量分析法

書誌事項

タイトル別名
  • Reversed-phase HPLC/MS analysis of fatty acid 9-anthrylmethyl ester derivatives
  • シボウサン 9 アンスリルメチルエステル ユウドウタイ ノ コウソク エキタイ クロマトグラフィー シツリョウ ブンセキホウ

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抄録

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による脂肪酸の組成分析には,オンライン質量分析(HPLC/MS)が有効であると考えられるが,これまでほとんど検討されていない.本研究では,脂肪酸のHPLC分析に広く用いられている9-アンスリルメチルエステル(通称ADAM)誘導体の逆相HPLC/MSによる分析法を検討した.負イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)MSでは,ADAM誘導体に由来するイオンは観察されなかったが,正イオンモードでは分析したすべての脂肪酸のADAM誘導体から,[M+Na](ベースピーク)と [M-RCOO]m/z 191,相対強度15%)の両イオンが検出された.これらのイオンを用いる選択イオン検出(SIM)では,0.1 ngの脂肪酸混合物(ADAM誘導体)をHPLCカラムに注入した場合でもS/N比5以上で個々の成分を検出することが可能であった.一方,大気圧化学イオン化法(APCI/MS)では,正イオンモードで [M-RCOO]m/z 191)が,負イオンモードでは [RCOO]がそれぞれベースピークとして検出された.これらの結果から,ESIとAPCIを用いるHPLC/MS法は,共に脂肪酸ADAM誘導体の同定に有効であることが明らかとなった.HPLC/ESI-MS法を実試料(ミンククジラのベーコンから得た脂肪酸混合物)の組成分析に適用した結果,蛍光検出HPLCとHPLC/MSで求めた各成分のピーク面積% はおおむね一致したことから,脂肪酸ADAM誘導体の逆相HPLC/MSは成分の同定ばかりでなく,組成分析法としても有用であることが認められた.<br>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 53 (6), 533-539, 2004

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (22)*注記

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