覚醒剤のガスクロマトグラフ分析のためのオンカラムキラル誘導体化試薬の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Development of New On-Column Chiral Derivatization Reagent for Gas Chromatographic Separation of Optical Isomeric Amphetamine and Methamphetamine
  • カクセイザイ ノ ガス クロマトグラフ ブンセキ ノ タメノ オンカラム キラル ユウドウタイカ シヤク ノ カイハツ

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説明

覚醒剤乱用を証明するために尿試料から覚醒剤の光学異性体をガスクロマトグラフ(GC)法で検出するには,光学活性カラムを用いて分離する方法とアンフェタミン(AP)及びメタンフェタミン(MA)をジアステレオマーの形に誘導体化し,汎用のカラムで分離する方法がある.いずれもルーティンワークである通常の覚醒剤分析に組み込むと,その作業能率を著しく低下させるものである.そこで著者らは,オンカラムで誘導体化反応を完結し,汎用カラムで光学異性体の分離が可能になる試薬MTPA-pyrazoleを開発した.この試薬は,(+)-α-メトキシ-α-(トリフルオロメチル)フェニルアセチルクロライド(MTPA-Cl)に,ピラゾールを脱離基として結合させることにより合成された.この試薬をGC用マイクロシリンジで最初に吸入し,次いで覚醒剤抽出液を吸入し,これをそのままGCに注入するだけで,インジェクションポート内で両者が反応してジアステレオマーとなり,光学異性体の分離分析を可能にするものである.本試薬を用いたオンカラム誘導体化法により,d-AP,l-AP,d-MA及びl-MAそれぞれのGC注入液中濃度が50 μMから2500 μMの範囲で直線性を示した.また,添加回収試験では若干ばらつきが認められたものの,誘導体化反応の再現性は良好であり,本試薬を用いることによりGC注入液1 μL中濃度でAPが25 μM以上,MAが50 μM 以上あればAP及びMAの光学異性体を確認できることが明らかとなった.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 56 (12), 1089-1095, 2007

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (9)*注記

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