漏斗胸を伴い肺膿瘍の術後に健側の片側性肺水腫を呈した1例

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  • A case of unilateral pulmonary edema with pectus excavatum after surgery for lung abscess

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抄録

症例は62歳男性.右上葉の肺膿瘍による血痰が持続し手術目的に紹介となった.高度の漏斗胸を伴っていた.左側臥位,片肺換気下に後側方切開で開胸し右上葉切除術を行った.全体的に炎症が強く,易出血性で多量の出血を伴った.肺尖部では空洞部が胸郭にくい込むように広がっていた.組織培養でAspergillus flavusが検出された.術後,抗真菌剤も併用して加療し,全身状態は安定していた.しかし,術後39日目から発熱と咳が出現し,術後40日目にかけて急激に呼吸不全となり,NPPVを開始した.画像検査では心拡大と健側である左側にのみすりガラス影が出現した.うっ血の関与を疑い,感染コントロールとともに利尿薬,カルペリチドを開始し,数日の経過で呼吸状態,左肺野の陰影はともに改善した.右肺優位の高度の漏斗胸と右上葉切除により相対的に左肺の血流が増加し,左側の片側性の肺水腫を生じた可能性が考えられた.

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