小児痙攣に伴う高CO<sub>2</sub>血症に関する検討

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  • Analysis for hypercapnia associated with child seizure

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抄録

【緒言】救急搬送の要因として頻度が高い小児痙攣には,安全な気道確保と呼吸状態の正確な把握のもと酸素投与と換気補助が不可欠である。高CO2血症が意識障害の遷延の原因につながる報告もあり,痙攣時にも同様のことが考えられうるため,高CO2血症のリスク因子を検討することを目的とした。【対象と方法】2008年1月から2010年12月までの3年間に痙攣を主訴に救急搬送された患児の静脈血液ガス検査を後方視的に検討した。呼吸障害の指標となるPCO2: 65mmHg以上を高CO2血症として定義し,そのリスク因子を調査した。【結果】当センターに救急搬送となった15歳以下の患児は2,105人であった。そのうち痙攣が主訴で搬送された患児は799人(38%)であった。血液ガスを採取したのは627人であり,21人(3.3%)に高CO2血症を認めた。重回帰分析を行い,高CO2血症の症例に嘔吐と痙攣重積の有無で有意差を認めた。【考察】嘔吐と痙攣重積が高CO2血症を来すリスク因子になりうることに加え,搬送中に潜在する換気不全が意識障害の直接要因の可能性もあり,酸素化のみならず換気不全にも配慮したバックマスク加圧換気の徹底が望まれる。【結語】痙攣する患児を診たときには痙攣を止痙することだけに集中せず,呼吸管理も含めた基本対応が不可欠である。救急搬送中のCO2モニタリングの重要性も今後検討されるべき課題である。

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参考文献 (15)*注記

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