重症急性膵炎における予後予測の早期指標としてのプロカルシトニン,IL‐6値の有用性

  • 加藤 昇
    大阪市立大学大学院医学研究科救急生体管理医学
  • 行岡 秀和
    行岡医学研究会行岡病院麻酔・救急・集中治療科

書誌事項

タイトル別名
  • Utility of Procalcitonin and Interleukin-6 Blood Levels for Prediction of Outcome in Patients with Severe Acute Pancreatitis

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説明

対象と方法 : 2001年11月から2003年5月まで, 血中procalcitonin (PCT) 値とinterleukin-6 (IL-6) 値を同時に測定した重症急性膵炎13例を対象とした。厚生労働省基準の重症度スコアは9.5±4.7 (4~19), APACHE II scoreは13.2±6.7 (7~29) であった。入院早期 (7日以内) に4例に多臓器不全を伴い, total SOFA scoreは14.3±3.9 (10~17) で, この4例が死亡した。測定は入院後48時間以内 (発症後1~4日), 3~4日目と7日目を基本に2~5回 (0~20日目) 行った。PCTはimmunoluminometric assay法で, IL-6はELISA法で測定した。統計処理はMann-Whitney U検定やSpearman順位相関を用い, p<0.05を統計学的に有意とした。結果 : 入院後48時間以内の血中PCT値 (ng/ml) は2.83±3.92 (0.08-12.61), IL-6値 (×103pg/ml) は5.45±15.08 (0.05~54.87) であった。重症度スコアとPCT値の間には有意ではないが弱い相関を認めた。一方, IL-6値とは弱いが有意な相関を認めた。APACHE II scoreとは両者とも強く相関した (PCT; rs=0.735, p=0.0113) (IL-6; rs=0.663, p=0.0226)。転帰については, 入院後48時間以内のPCT値 (ng/ml) とIL-6値 (×103pg/ml) はそれぞれ生存0.70±0.61, 死亡7.63±4.01, 生存0.23±0.12, 死亡17.20±25.36で, いずれも有意差を認めた (ともにp=0.0055)。入院3~4日と7日目でも, 両者ともに死亡例に有意に高かった。死亡予測値として, 入院後48時間以内のPCT値2.0ng/mlとIL-6値1.0×103pg/mlのいずれも, 感度, 特異度ともに100%であった。なお, PCT値とIL-6値には強い相関を認めた (rs=0.741, p=0.0079)。結語 : 重症急性膵炎発症4日以内の血中PCT値とIL-6値はいずれも予後予測の早期指標として極めて有用である。

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