高トリグリセリド血症を伴う重症急性膵炎に対してLDLアフェレーシスを施行した1例

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  • A case of LDL apheresis for severe acute pancreatitis accompanying hypertriglyceridemia

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高トリグリセリド(triglyceride,以下TG)血症は急性膵炎の成因のひとつとして知られている。高TG血症を伴っている場合は,血中のTG値を速やかに低下させることで,膵炎の病態を改善させると考えられている。我々は高TG血症を伴った重症急性膵炎1例を経験した。症例は30歳の男性で腹痛が主訴であった。腹部造影CTにて重症急性膵炎を認め,来院時の血中TG値は2150mg/dLであった。重症急性膵炎の治療として補液・持続動注療法(continuous regional arterial infusion: CRAI)を施行するとともに,高TG血症に対してLDL(low-density lipoprotein)アフェレーシスを施行した。1回目のLDLアフェレーシスによりTG値は974mg/dLまで低下したが,腹痛の改善が乏しく6時間後に2回目のLDLアフェレーシスを施行した。TG値は317mg/dLまで低下し,自覚症状も改善した。第4病日にCRAIを終了し,第16病日に軽快退院となった。 高TG血症を伴う急性膵炎は脂質による膵微小循環の障害が発症に関与していると考えられている。そのため高TG血症の存在下ではCRAIの十分な効果が得られない可能性もある。LDLアフェレーシスは大きな副作用がなく安全に施行でき,速やかな血中TG値の低下が期待できる。高TG血症を伴う重症急性膵炎の場合,CRAIにLDLアフェレーシスを補助的に行うことで,病態の改善に寄与する可能性が考えられる。

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