軽症頭部外傷患者における頭部CT適応基準の作成と検証

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  • Clinical decision rules for the indication of computed tomography in adults with minor head injury

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【目的】入院経過観察あるいは外科的治療を必要とするような頭蓋内出血性病変を有する軽症頭部外傷患者を見逃すことなく(感度100%を保ち),なおかつ可及的に特異度の高い頭部CT撮影の判断基準を作成すること。【方法】2006年1月1日から2010年3月31日までに当病院救急科を受診した軽症頭部外傷患者(来院時GCSスコア15を満たす)を対象に予測因子候補11項目を設定し後方視的に調査した。対象を16歳以上60歳未満の若年群と60歳以上の高年齢群の2群に分けて解析を行った。2006年1月1日から2007年12月31日をDerivation期間とし,この11項目に関し頭部CT陽性例と陰性例にて単変量解析を行った。有意差が認められた項目のみを選択し,これらを候補とし2進再帰分割法を行い,予測因子を決定し頭部CT撮影の必要性に重点を置いた臨床判断基準を作成した。2008年2月1日から2010年3月31日をValidation 期間とし,Derivation dataで導き出された予測因子について2進再帰分割法を行い,その妥当性を検証した。【結果】若年群では抗凝固薬あるいは抗血小板薬の内服歴,一過性意識消失あるいは健忘,鎖骨より頭側の創傷の3項目のどれかを有すれば頭部CT所見陽性に対する感度が100%となった。高年齢群では抗凝固薬あるいは抗血小板薬の内服歴,全汎性頭痛,一過性意識消失あるいは健忘の3項目のどれかを有すれば頭部CT所見陽性に対する感度が100%になった。【考察】このように年齢別の判断基準を作成することで,これまでの研究より少ない項目数の予測因子で臨床的に重要な頭蓋内損傷を有する軽症頭部外傷患者を見逃すことなく頭部CT撮影数を減少させうる。

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