データ適応型判別解析とその診断

  • 下川 敏雄
    大阪大学大学院基礎工学研究科統計数理講座
  • 後藤 昌司
    大阪大学大学院基礎工学研究科統計数理講座

書誌事項

タイトル別名
  • DATA-ADAPTIVE DISCRIMINANT ANALYSIS AND ITS DIAGNOSIS
  • データ テキオウガタ ハンベツ カイセキ ト ソノ シンダン

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説明

行動計量学, 医学, 社会科学では, 大規模データの多変量解析, とくに判別解析が卑近に利用されている.古典的な判別解析は, 通常, データ(標本)の抽出された母集団の多変量正規性に基づいている.ただし, 実地で得られるデータがこのような「かたい」仮定を満たすことは殆どない.そのため, データの多変量正規性の充足を意図して, データに正規化変換を施す諸種の方法が提示されている(Riani & Atkinson, 2001).ただし, このような「変換」の枠組みに依る方法では, 群への所属が不明の新たに得られた個体を判別する際に, その観測値に対して, 群ごとに対応して推定されたいずれの変換を施せばよいかを決定することができない.この対処法の一つとして, 変換前の「分布」の枠組みに基づいてこの判別問題をとり扱うことが考えられる(Goto & Shimokawa, 2002).本論文では, データの潜在基礎分布に「多変量ベキ正規分布」を想定する, データ適応型判別解析の方法を提案する.さらに, 本論文では, データ適応型判別解析の結果の妥当性確認を与える統計的診断の方法を提示する.この方法の性能を文献例およびシミュレーションで評価した.線形判別解析および多変量ベキ変換に基づく判別解析(Riani & Atkinson, 2001)の正判別率は, データの分布形状の歪みが大きくなるにつれて減少したが, データ適応型判別解析では, 殆ど減少しなかった.

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参考文献 (30)*注記

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