1-(p-置換フェニル)-1,3-ブタンジオン類の互変異性化反応の速度

書誌事項

タイトル別名
  • Kinetics of Tautomeric Reaction in 1-(p-Substituted phenyl)-1, 3-butanediones

抄録

エタノール中における 1-(p-置換フェニル)-1,3-ブタンジオン類 (p-XC6H4COCH2COCH3; X = Br[1], Cl[2], H[3], NHCOCH3[4], C2H5[5], CH3[6], OCH3[7], OH[8], NH2[9])のケト-エノール互変異性化速度とその平衡を臭素付加によるエノール濃度の測定に基づいて検討した。0~30℃におけるエタノール中でのケト-エノール互変異性化の速度定数 (k1)とエノール形への臭素付加の速度定数 (k2)を求めた結果, [1]~[9]のk1は (3.1~0.5)×10-3s-1となり, エノール化は30℃ において 0℃ のときよりも 1.3~2.1倍も速くなった。一方, 置換基が電子求引性かち供与性になるほど, エノール化は速くなった。k2は0.1~0.3s-1となり, 置換基の種類に関係なく各測定温度でほぼ一定の値を示し, エノール形への臭素付加は30℃において0℃のときよりも1.5~2.7倍も速くなった。また, 0~30℃におけるケト-エノール互変異性化の平衡定数 (KE)は36.0~2.4となり, 置換基が電子求引性から供与性になるにしたがって小さくなった。このケト-エノール互変異性化平衡は Hammett の式にしたがい, 電子求引性の置換基をもつ [1]~[4]はエノール形の方が, 電子供与性の置換基をもつ [5]~[9] はケトの方がそれぞれ安定であることを共鳴効果から説明することができる。また, ケト-エノール互変異性化平衡における ΔH および ΔS は -8.4~ -27.1kJ・mol-1 および -9.7~ -69.5J・mol-1 となり, いずれも Hammett の置換基定数σP がゼロ付近から急激に減少した。

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ