書誌事項
- タイトル別名
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- Preparation of Iron(III) Phosphates by the Reaction of Iron(III) Oxide with Orthophosphoric Acid
- 酸化鉄(III)とオルトリン酸との反応によるりん酸鉄(III)の調製
説明
酸化鉄(III)とオルトリン酸との反応におけるリ酸鉄(III)の生成について,Fe2O3とH3PO4との混合割合(モル比R=P2O5/Fe2O3),加熱温度,加熱時間,昇温速度および種々の水蒸気圧を有する加熱雰囲気下で詳細に検討した。Fe2O3とH3PO4との反応において,100~700℃の加熱温度で生成する結晶性のリン酸鉄(III)はオルトリン酸二水素鉄(III)Fe(H2PO4)3のA型とB型,ピロリン酸水素鉄(III)FeHP2O7,中性ピロリン酸鉄(III)Fe4(P2O7)3,三リン酸二水素鉄(III)FeH2P3O10のII型,ポリリン酸鉄(III)Fe(PO3)3のA型とC型および未知化合物の8種類であった。1)Fe(H2PO4)3のA型およびB型はモル比Rが3~4で,大気中で200℃以下の低温度で生成する。A型はとりわけR=4で125℃で,B型はR=3で125℃でよく生成した。2)FeHP2O7,はRが3付近で大気中(電気炉中),封管中,水蒸気溝中あるいは乾燥空気中で5時間加熱すると容易に得られる。またFe4(P2O7)3はR=1.5付近で250~300℃でよく生成する。3)FeH2P3O10のII型はR=3~4で,大気中275~400℃の温度範囲で生成するが,つねにピロリン酸鉄(III)あるいはポリリン酸鉄(III)との混合物として得られるにすぎない。4)大気中でのFe(PO3)3の生成温度はモル比Rによって異なり,モル比が大きくなるにしたがって生成温度は低温度側ヘシフトしてくる。R=4では275℃付近から生成してくる。Fe(PO3)3のC型は500℃,R≧3で大気中,封管中および水蒸気流中で容易に得られる。一方,Fe(PO3)3のA型はR=3で真空中で加熱すると得られるが,その生成量は第一次熱処理時の昇温速度と密接な関係があった。すなわち昇温速度が大きいほど,A型の生成が支配的であった。5)大気中でR=1~2・150~250℃の温度範囲においては未知化合物が生成するが,このものはつねに原料のFe2O3と混在して得られた。
収録刊行物
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- 日本化学会誌(化学と工業化学)
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日本化学会誌(化学と工業化学) 1980 (2), 176-180, 1980-02-10
公益社団法人 日本化学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204389490176
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- NII論文ID
- 130004156643
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- ISSN
- 21850925
- 03694577
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可