水酸化カルシウムのメトキシド化と生成物の性質

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タイトル別名
  • Methoxidation of Calcium Hydroxide and Characteristics of Its Compound
  • スイサンカ カルシウム ノ メトキシドカ ト セイセイブツ ノ セイシツ

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無機物と有機物との相互作用による無機複合体の合成と物性改善に関する基礎的知見を得るため,CaOおよびCa(OH)2をメタノール中に浸せきし,CaO-H2O-CH3OH系水和物の生成と性質について検討した。<BR>メタノール中におけるCaOおよびCa(OH)2のメトキシド化を比較すると,前者では水和およびメトキシド化が同時に起こり,反応5時間後にはCa(OH)2とCa(OCH3)2に変化するのに対し,後者では同じ状態になるのに4日間必要とする。7日以後ほ反応後の両者の相違はみられなくなり,平衡状態となる。浸せき初期に生成したCa(OH)2およびCa(OCH3)2の(001)面の面間隔の増減から,この水和物はCdI2型の層状構造であるCa(OH)2およびCa(OCH3)2の両者の層間にOH←→CH3O基が相互置換したカルシウム=ヒドロキシド=メトキシドの2相の混合物である。X線回折の結果から,これらの相はCa(OH)1.5(OCH3)0.5およびCa(OH)0.3(OCH3)1.7とそれぞれ式示される。このCa-OCH3結合を有する水和物結晶はメタノールの浸せきによって(001)面の層間がはく離した2μm程度(比表面積2.1m2/g)の薄い六角板状結晶である。一方,CH3O基による表面の安定化は湿度80%において炭酸化がいちじるしく抑制されることからも確認される。<BR>このCH3O基は加熱をにより300℃ まで安定である。さらに,CaO-H2O-CH3OH系水和物は各種有機溶媒中によく分散し,その表面は親油性に変化している。したがって,この水和物はプラスチック,ゴム,紙などの無機質充てん材として期待することができる。

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