陰イオン交換樹脂による消化管内食物性リン酸の吸着

  • 井上 浩義
    久留米大学医学部放射性同位元素施設,830-0011 久留米市旭町 67

書誌事項

タイトル別名
  • Adsorption of Dietary Phosphate in Gut with Anion Exchange Resin
  • インイオン コウカン ジュシ ニ ヨル ショウカカン ナイ ショクモツセイ リンサン ノ キュウチャク

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抄録

本研究は,高リン血症の治療のために,消化管内において食物性リン酸を効率的に吸着除去する物質としての陰イオン交換樹脂のリン酸吸着性に関する基礎的な知見を得ることを目的とする。被験物質として,現在高リン血症治療薬として広く用いられている炭酸カルシウムならびに各種陰イオン交換樹脂を使用する。実験は,15mmol dm-3リン酸溶液に対する被験物質のリン酸吸着実験(in vitro実験)およびラットに被験物質を経口摂取させた場合のふんおよび尿中リン量の測定実験(in vivo実験)を行った。in vitro実験の結果,陰イオン交換樹脂は,リン酸吸着量では炭酸カルシウムに及ばなかったが,非常に早い吸着速度を示し,また,溶液のpHの影響を受けにくいという結果を得た。一方,in vivo実験では,炭酸カルシウム投与群のふん中リン量は対照群に比べて,1.58倍に増加したが,陰イオン交換樹脂PAA-B投与群では1.77倍と炭酸カルシウム投与群よりもさらに優れたリン酸吸着性を示した。以上のことから,単位重量当たりに多くの陰イオン交換基を有する第一級·第二級ポリアミン型陰イオン交換樹脂は,新規な高リン血症治療薬となる可能性があることが示唆された。

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参考文献 (17)*注記

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