高血圧症患者における歯周病と冠状動脈系心疾患との関連について

  • 玉澤 かほる
    東北大学大学院歯学研究科口腔生物学講座歯内歯周治療学分野
  • 玉澤 佳純
    東北大学病院感染予防対策治療部
  • 島内 英俊
    東北大学大学院歯学研究科口腔生物学講座歯内歯周治療学分野 東北大学病院感染予防対策治療部

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship Between Periodontal Disease and Coronary Heart Disease in Patients with Hypertension
  • ―脈波伝播速度を用いての検討―
  • ―Investigation Using the Value of the Pulse Wave Velocity―

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抄録

本研究の目的は高血圧症患者の冠状動脈系心疾患(CHD)の原因となる動脈硬化の進行と歯周病の状態との関連を検討することにある。動脈硬化の進行は,血圧脈波検査装置を用いて脈波伝播速度(PWV)を測定して評価した。71 人の高血圧症患者(61.1±9.6 歳)を本研究の対象者とした。歯周疾患の臨床的パラメータとして, 6 歯に対して 6 部位のプロービングによるポケット深さ(PD)とプロービング時の出血(BOP)を調べ,また, 4 歯に対して培養法により縁下プラークの細菌叢を調べた。 被験者は PD と BOP の中央値を基に,高値群(PD≧3.8 mm,BOP≧40%)と低値群(PD<3.8 mm,BOP <40%)の 2 群に分けて統計解析を行った。 結果は以下の通りである。 36 部位の PD の平均値は 4.0±1.0 mm ,6 部位の最深 PD の平均値は 6.2±2.2 mm,BOP の平均値は 43.6±29.4%であり,これらの結果より,被験者の歯周病が進行していると推察された。 PWV は BOP 高値群の方が BOP 低値群より有意(p<0.05)に高かった。Prevotella属菌の検出は,PD 高値群の方が PD 低値群より,BOP 高値群の方が BOP 低値群より有意に(p<0.05)高かった。 これらの結果から,BOP 高値群の高血圧症患者では,CHD のリスクが示唆された。さらに,歯周病の進行にPrevotella属菌の関与が推察された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(4):423-434,2014

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参考文献 (40)*注記

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