ヴェトナム中部、ダナン市における都市化と洪水リスクの変遷に関する検討

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  • Analysis of urban expansion and flood risk change in Da Nang city in Central Vietnam

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抄録

洪水は、世界の各地において頻繁に発生し、且つ広域に及んで災害リスクをもたらす現象である。洪水危険地域への都市の拡大や気候変動による洪水のリスクの増大は、今後一層高まることが危惧される。ヴェトナム中部に位置するダナン市は、近年同国において最も都市化が著しい地域のひとつである。ダナン市では過去10 年間に数回洪水災害を経験し、人命、農業生産、社会基盤が甚大な被害を受け経済活動は混沌たるものになった。そこで、本研究ではリモートセンシングと地理情報システムの手法を用いて、都市の拡大と洪水リスクの関係について検討を行った。まず、時系列のLandsat TM/ETM 画像と多季節で取得したALOS 画像の解析によって1990 年、2001 年、2007年および2010 年の土地利用・被覆分類図を作成し、都市の拡大過程を明らかにした。次に、ASTER GDEM(30 m解像度)を用いて流向特性を図化するとともに、ALOS PALSAR 画像から過去の洪水氾濫の範囲を復原し、それらを統合することで潜在的な洪水ハザードの度合いを解析した。最終的な洪水リスクは、こうして得られた洪水ハザード危険度と人口データに基づいた洪水脆弱性との重ね合わせによって解析した。その結果、ダナン市では過去20 年間に都市域が約220%の割合で増加し、その拡大方向は特に既成市街地から西部、北西部、南部および海岸線に沿って顕著であった。洪水リスク危険度の相対的に高い地域は、河川の堤防沿いや低地のなかに存在する凹地地形に多く見られた。過去20 年間(1990 年~2010 年)に拡大した都市域と洪水リスク危険地域を重ね合わせた結果、より危険度の高い個所に都市化が進行している個所が確認された。こうした洪水リスクの高い地域への都市の拡大は1990年~2001 年間の1.9 %から2007 年~2010 年間の3.5 %へ2 倍近く増加していることが明らかにされた。

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