エステル類とヘキサフルオロプロペンとのラジカル付加反応

書誌事項

タイトル別名
  • The Radical Addition Reaction of Esters to Hexafluoropropene

説明

γ-線照射下に19種類のエステル類[1a~s]とヘキサフルオロプロペンとのラジカル付加反応を行ない,フルオロアルキル基を有するエステル類を合成した。一般式RCOOR' (R, R' -=CH3, CH2CH3, CH2CH2CH3, CH(CH3)2, CH2CH2CH2CH3, CH2CH(CH3)2 )で表わされるエステル類[1a~j]は好収率で対応する1:1付加物を与えたが,付加する炭素の位置が異なった数種の異性体が生成した。これら異性体の生成割合から,エステル分子中の炭素原子の付加反応性にはつぎのような傾向が見いだされた。(1)反応性は第3級>第2級>第1級の順である。(2)アルコキシル基(R'O)中の炭素の方がアシル基(RCO)よりも反応性が大きい。(3)同種類の炭素ではカルボニル基から隔たるほど反応性が大きい。(2)と(3)の傾向は,従来知られている炭化水素オレフィン類とエステル類とのラジカル付加反応における反応性の傾向と逆であった。一般式RCOOCH2CH2(R=CH2F, CHFCl, CH2Cl, CHCl2 CCl3, CH2CN, C6H5,0CH2CH3)で表わされるエステル類[1k~r]の付加反応では,炭酸遊エチル[1r]が好収率で1:1付加物を与えたが,電気陰性基をもつエステル類[1k~q]の場合には収率が低く,付加物が得られないものもあり,電気陰性基は付加反応性を低下させることを示した。γ -ブチロラクトン[1s]は付加物を与えなかった。

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