(R,R)-および(S,S)-1,2-シクロヘキサンジアミンNi(II)錯体によるアルドースのC-2エピマー間の分子識別

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タイトル別名
  • Molecular Recognition of Aldoses Using [Ni(R, R- or S, S-cxhn)3]Br<SUB>2</SUB>. 3H<SUB>2</SUB>0 (chxn=1, 2-cyclohexanediamine)
  • Molecular Recognition of Aldoses Using [Ni(R, R- or S, S-cxhn)3]Br2. 3H20 (chxn=1, 2-cyclohexanediamine)

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説明

トリス[(1R,2R)-および(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン(chxn)]Ni(II)錯体といくつかのアルドースとの反応により,ニッケル1原子あたり糖2分子を含む青色八面の正体型常磁性錯体が生成する。この反応は糖質の構造に対して敏感であり,とくに糖のC-2-位の絶対配置に関して,R,R-chxn錯体はC-2-がSの糖と,S,S-chxn錯体はC-2-位がRの糖と選択的に錯形成する傾向をもつことがわかった。この錯体は水溶液中で容易に加水分解を受け,もとの糖とジアミン錯体とに戻るので,糖質の分離に応用しうる。実際にたがいにC-2エピマーであるD-グルコースとD-マンノースとの1:1混合物の中から,[Ni(R,R-chxn)3]Br2.3H2Oとの反応による配糖錯体の生成を利用してD-マンノースのみを分離することができた。この選択性の生じた原因は生成した配糖錯体のキレート環のゴーシュ構造の不斉から説朗することが可能である。過去にX線構造解析の行なわれた類似錯体の構造から,これらの錯体上ではN-グリコシドがmer形に配位した構造をもっともとりやすいと推定されるが,このとき2個の五員環キレートが一つのN原子を介して連結されているため,キレート環のゴーシュ構造の絶対配置は一方がδ,他方がλの組み合わせがもっとも安定化すると考えられる。このような立体化学的機構がアルドースの分子識別において重要な要因となるものと考えられた。

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