陽イオン性界面活性剤第四級アンモニウム塩の水溶液の示す異常現象について

書誌事項

タイトル別名
  • Anomaly of Aqueous Solutions of Cationic Surfactants: Quaternary Ammonium Salts

説明

陽イオン性界面活性剤である第四級アンモニウム塩のあるものはその水溶液の電気伝導度を測定するとミセル形成臨界濃度(CMC)付近で一つの極大値をもつことが知られている。このような現象を異常現象とよんでいる。そこでテトラデシルジメチルベンジルアンモニウムグロリド,オクタデシルジポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロリドおよびジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドの水溶液の電気伝導度を測定し当量伝導度-濃度の平方根曲線を作成したところ,テトラデシルジメチルベソジルアンモニウムクロリドは通常の界面活性剤水溶液と変らぬ物理化学的性質を示したが,後者の二つは明瞭な異常現象を示した。すなわち,オクタデシルジポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロリドはグラフ上に一つの極大値をもち,そしてジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドの方は界面活性剤水溶液の低濃度領域において異常に高い電気伝導度を示した。このことは明らかに異常現象の存在を暗示している。このような異常現象はオクタデシルジポリオキシエチレソメチルアンモニウムクロリドについては界面活性剤イオンのN原子のまわりに結合している1個の長鎖アルキル基と2個のポリオキシエチレソ基の立体障害のために,またジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドについてはN原子のまわりに結合している2個の長鎖アルキル基の立体障害のために対イオンの固定が起こりにくくなり解離度が増加するために生じてくるものと思われる。すなわち,対イオンの固定の少ない界面活性剤イオンのみが集合した多電荷型の会合体ができるため,電気伝導度が増加するものと考えられる。

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