インドネシアにおけるパーム油生産拡大に伴う環境影響と低減策

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タイトル別名
  • Environmental Impact Reduction Options for Expansion of Palm Oil Production in Indonesia
  • インドネシア ニ オケル パームユ セイサン カクダイ ニ トモナウ カンキョウ エイキョウ ト テイゲンサク

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抄録

地球温暖化対策の一環として注目されてきたバイオエネルギーの生産であるが,近年においては,土地利用の改変に伴う環境影響が危惧されている。本稿では,バイオ燃料の原料としても注目されているインドネシアのパーム油の生産拡大に伴う環境負荷低減策について検討した。そこで,先ず,インドネシアの熱帯雨林の減少とパーム油生産拡大に関する情報を整理し,その現状を明らかにした。次に,パーム油生産拡大に伴う環境影響として,1)熱帯雨林伐採に伴う生物多様性の損失,2)温室効果ガス排出,3)エネルギー資源の消費について示し,その環境影響の低減策について検討した。その中で,本稿では,プランテーション開発に伴う熱帯雨林伐採は直接的,間接的に生物多様性や生物個体数の損失に繋がることを指摘した。さらに,新たな土地利用の改変を伴わないパーム油生産拡大の可能性として,単位面積当たりの作物収量の増大による土地倹約の効果を明らかにした。次に,本稿では,パーム油と他の植物油の生産にかかるエネルギー資源の消費量を比較するとともに,インドネシアにおけるパーム油からのバイオ燃料の生産に伴うエネルギー・資源消費量の増大に関する問題点について指摘した。今後,持続可能な消費に向けて,パーム油生産にかかるエネルギー・資源消費量及び土地の使用量を最小化する農業・バイオマス利活用技術の開発を推進するとともに,植物油の需要側の対策も必要であると考えられた。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 23 (4), 332-340, 2010

    社団法人 環境科学会

参考文献 (44)*注記

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