エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)への吸入暴露に関するリスク評価

  • 牧野 良次
    独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門
  • 納屋 聖人
    独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門
  • 酒井 めぐ美
    独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門
  • 吉田 喜久雄
    独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Assessment of Human Health Risk of Ethyl-<I>tert</I>-butyl Ether (ETBE) via Inhalation Route
  • エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)ヘ ノ キュウニュウ バクロ ニ カンスル リスク ヒョウカ

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説明

地球温暖化対策の一環として2010年度に実施予定であるエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)の本格導入にあたり,全国で流通するガソリンのすべてがETBE7%混合ガソリンになるとのシナリオのもとでETBEへの吸入暴露に関するヒト健康リスクを評価した。製油所貯蔵タンク,油槽所,給油所,および自動車・二輪車からのVOC排出量に関する既存データおよびVOCの物性データをもとに,上記シナリオにおける全国レベルの年間ETBE大気排出量を13,137トン/年と推定した。推定排出量を大気拡散モデルAIST-ADMER ver.2に入力し年平均大気中ETBE濃度の空間分布を5 km×5 kmメッシュの空間解像度で推定したところ,各地域の平均濃度は0.01~0.28μg/m3の範囲,最大濃度は0.22~2.0μg/m3の範囲になると推定された。ETBEの有害性について既存文献の情報を解析した結果,ラットを用いた13週間の吸入暴露試験の結果から無毒性量を500 ppm(2,090 mg/m3)と判断した。暴露マージン(=無毒性量/暴露濃度)を不確実性係数1,000と比較することによりヒト健康リスクを判定した。暴露マージンは広域において2,090,000[μg/m3]/2[μg/m3]=1.0×106,高濃度域において2,090,000[μg/m3]/38.0[μg/m3]=5.5×104であり,不確実性係数を超過していることから,リスクの懸念はなく対策を取る必要はないと判定した。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 25 (3), 192-203, 2012

    社団法人 環境科学会

参考文献 (17)*注記

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