汚染産業移転仮説と環境政策選択

  • 黄 錚
    埼玉大学大学院理工学研究科
  • 外岡 豊
    埼玉大学経済学部社会環境設計学科 埼玉大学総合研究機構環境科学研究センター
  • 関口 和彦
    埼玉大学大学院理工学研究科 埼玉大学総合研究機構環境科学研究センター
  • 王 青躍
    埼玉大学大学院理工学研究科 埼玉大学総合研究機構環境科学研究センター
  • 坂本 和彦
    埼玉大学大学院理工学研究科 埼玉大学総合研究機構環境科学研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • The Environmental Policy Choice and the Pollution-Haven Hypothesis
  • 汚染産業移転仮説と環境政策選択--地域間経済格差からみた中国の環境問題
  • オセン サンギョウ イテン カセツ ト カンキョウ セイサク センタク チイキ カン ケイザイ カクサ カラ ミタ チュウゴク ノ カンキョウ モンダイ
  • 地域間経済格差からみた中国の環境問題
  • Evidence from Regional Comparison in China

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説明

中国では,「改革・開放」政策を取り入れた1980年代以来,経済の高度成長が続いている。しかし,近年になって,地域間経済発展の不均衡がますます拡大し,沿岸部と内陸部との経済格差が広がってきた。先進国と発展途上国の経済発展のギャップは「南北問題」と表現されているが,中国国内でも,地域間において「南北問題」と言われるほど経済発展のレベルには大きな格差がみられる。一方,環境汚染問題もそれに伴い地域間の格差が日増しに顕在化し,国際間における汚染産業移転説と同様に,中国国内においても汚染産業の沿岸部から内陸部への移転と推定される現象が現れている。本論文では,SO2,COD,工業固形廃棄物などの排出量の変遷を環境指標とし,1981年から2005年までのそれらの統計データを用いた地域別の環境クズネッツ曲線の分析を通じて中国の沿岸部と内陸部の経済発展と環境負荷の関係を比較考察した。その結果として工業固形廃棄物の分析において見られるように,沿岸部はより厳しい環境規制を実施することで,工業固形廃棄物の内陸部への移転を促す副作用をもたらしたと考えられる。また,その裏づけとして地域間の経済発展の格差により,それぞれの地域の環境政策の選択にも影響を及ぼしていたことが分かった。こうした地域間経済発展のアンバランスは地域間の環境格差を産むだけでなく,国全体の環境悪化につながる恐れがあることを示唆した。

収録刊行物

参考文献 (28)*注記

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