上海市における食生活が水土壌環境に及ぼす窒素・リン負荷量の推定

  • 劉 晨
    名古屋大学大学院環境学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of Human Diet-Derived Nitrogen and Phosphorus Loads on the Water and Soil Environment with Rapid Urbanization in Shanghai
  • シャンハイシ ニ オケル ショク セイカツ ガ ミズ ドジョウ カンキョウ ニ オヨボス チッソ ・ リン フカリョウ ノ スイテイ

この論文をさがす

説明

人々の食生活(何をどれほどたべるか)は地域物質循環に大きな影響を与えている。本研究は,上海市の市民の食生活が同地域の水土壌環境に及ぼす窒素・リン負荷量を定量的に解析し,また,市民の食生活の変化を調査することによって負荷量の今後の傾向に示唆を与えることを目的とする。そこで,上海市の市区,新区,郊外・農村地域に在住している18歳以上の成人450人を対象に,アンケート調査と聞き取り調査を行い,これらの調査をもとに,都市化に伴う生活様式(食生活や家庭内衛生・排水設備など)の変化を明らかにし,食生活による環境への窒素・リン潜在負荷量を推定した。その結果,1日1人当たりの食生活による窒素・リンの負荷量は,上海市市区では19.36g-N, 1.80g-P,上海市新区では16.48g-N,1.52g-P,郊外・農村では13.04g-N,1.20g-P であることがわかった。また,今後上海市では,特に郊外・農村地域の食物消費構造において動物性蛋白食品や加工食品が増加する傾向にあり,人々の食生活の変化によって水域への窒素・リン負荷量はさらに増加する傾向にあることがわかった。上海市の水環境問題は都市型・生活型問題へ移行しつつあり,環境を考慮した食生活への考慮や一般住民の環境意識の向上が必要であろう。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 26 (5), 421-429, 2013

    社団法人 環境科学会

参考文献 (15)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ