化学物質安全のためのレギュラトリーサイエンス

  • 小野 恭子
    (独)産業技術総合研究所安全科学研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • A Discussion on Regulatory Science in the Field of Chemical Safety Management
  • 化学物質安全のためのレギュラトリーサイエンス : 化学物質のリスク評価・管理の観点からの考察
  • カガク ブッシツ アンゼン ノ タメ ノ レギュラトリーサイエンス : カガク ブッシツ ノ リスク ヒョウカ ・ カンリ ノ カンテン カラ ノ コウサツ
  • -From the Practices of Chemical Risk Assessments -
  • -化学物質のリスク評価・管理の観点からの考察-

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説明

レギュラトリーサイエンスとは,従来の科学において得られる科学的知見と行政が行う規制措置等との間のギャップを埋めるための,橋渡しとなる科学といえる。これは,説明責任が重要となっている現代においてまさに必要とされている科学であり,環境行政や環境評価などの意思決定に携わる者にとって重要な概念である。本稿では主として化学物質のリスク評価を例に,その位置づけ,および今後どのような研究が必要となるかを整理した。<br>化学物質安全のためのレギュラトリーサイエンスの特徴としては,①科学的知見に基づく予測・推定の重要性が高いことと,②時間的・資源的制約の中で意思決定に資する情報を提供するため,科学的推論の積み重ねからなる「適正な手続き」(約束事)が活用されることである。どこまでが純粋な科学的知見で,どこからが約束事かを明確にしておくことで,意思決定の根拠の説明が容易になる。レギュラトリーサイエンスは,(純粋)科学の発展と共に理論的背景が強化され,約束事の検証が進みより多くの合意が得られる体系に発展する。また逆に,新興リスクに対する評価の要請など,新たなニーズに対応する体系が付け加えられることで,枠組みにおいても具体的な手法においても発展していくと期待される。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 26 (5), 440-445, 2013

    社団法人 環境科学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (15)*注記

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