かんきつ加工品の変敗原因となったカビ <i>Byssochlamys lagunculariae</i> の同定と耐熱性

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タイトル別名
  • Identification and heat-resistance characteristics of <i>Byssochlamys lagunculariae</i>, a mold isolated from citrus raw material of spoiled fruit jelly products
  • かんきつ加工品の変敗原因となったカビByssochlamys lagunculariaeの同定と耐熱性
  • カンキツカコウヒン ノ ヘンパイ ゲンイン ト ナッタ カビ Byssochlamys lagunculariae ノ ドウテイ ト タイネツセイ

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抄録

<p> 2008年に発生した果実加工品の変敗事故に関して,原料に用いたかんきつ果汁から原因菌として分離した耐熱性カビの生育性状と子嚢果,子嚢胞子,アナモルフの形質を光学顕微鏡およびSEMにより観察した結果,子嚢菌類ユウロチウム目の日本未記録種Byssochlamys lagunculariae (C. Ram) Samson et al. (アナモルフ:Paecilomyces sp.)と同定した.また,rDNAのITS/LSU(28S)領域遺伝子およびβ-tubulin遺伝子の塩基配列を解析し,得られた遺伝子型から同定結果を確認した.B. lagunculariaeのコロニーは初めB. niveaのように白色であるが,次第に分生子の形成とともにPaecilomyces variotiiに似たオリーブ褐色になる.本種のPaecilomycesアナモルフはP. variotii種複合体の一つであるPaecilomyces dactylethromorphusの形態と全く差異がなく,しかもB. lagunculariaeP. dactylethromorphusはβ-tubulin遺伝子の塩基配列に基づく分子系統樹において近縁の系統群を構成した.本種の子嚢胞子の耐熱性は,かんきつ果汁を加熱媒体としたとき,D75℃=14.4-38.4 min,D78℃=3.4-13.5 min,D80℃=5.4 minを示し,比較に用いたB. fulva, T. byssochlamydoidesのD値からは低かった.また,z値は5.5-5.7℃であった.これらの耐熱性数値は本種について最初の知見であり,2008年に発生した変敗事故について原料のかんきつ果汁に汚染原因があったことを推定した.</p>

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