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- 森 一恵
- 済生会横浜市東部病院
書誌事項
- タイトル別名
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- Factors determining exclusive breastfeeding by multiparas in the first month after delivery
説明
目 的<br> 産後1か月が経過した母乳育児経験のある経産婦の完全母乳育児の実施について,過去と今回の母乳育児経験に関する種々の要因からその影響力の強さを明らかにし,完全母乳育児に対する決定要因を検討する。<br>対象と方法<br> 調査を依頼した20施設のうち同意の得られた16施設において,質問紙調査を行った。対象は,正期産,単胎児出産後1か月以降2か月未満の経産婦で,産後の経過中に重篤な合併症がなく,入院期間中に母乳育児を開始している母親635名である。質問紙の作成は,先行研究と文献のレビューから母乳育児の選択と継続に関与する要因を抽出し,当該領域の研究者および助産師6名と共に調査項目や表現方法の検討を重ね内容妥当性を高めた。さらに,質問紙の回答所要時間を把握し,表面妥当性を検討するために経産婦10名と上記専門家6名にプレテストを行い,質問紙を作成した。<br>結 果<br> 質問紙の回収は501部(回収率78.9%)で,最終的には485部(有効回答率76.4%)を分析対象とした。<br> 予備分析から得られた完全母乳育児への影響要因を共変量として調整し,ロジスティック回帰分析を行った結果,妊娠36週時点で出産後の授乳方法として完全母乳育児を選択している(OR=20.87, CI=10.68-40.79),母乳が足りていないように感じることがない(OR=6.56, CI=3.32-12.98),哺乳瓶やおしゃぶりを使っていない(OR=3.98, CI=2.08-7.60),上の子の授乳方法が完全母乳育児である(OR=2.74, CI=1.40-5.36),上の子が出産後1か月健診までに母乳育児支援を受けている(OR=2.26, CI=1.16-4.37)の5変数が,完全母乳育児に有意に関連していた。<br>結 論<br> 産後1か月が経過した経産婦の完全母乳育児に関して最も影響力のある要因は,妊娠36週時点で出産後の授乳方法として完全母乳育児を選択していることであった。過去に母乳育児経験のある経産婦が,今回の授乳においてぜひ母乳で育てたいと出産前までに「完全母乳育児を選択」できるような支援が必要であることが示唆された。
収録刊行物
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- 日本助産学会誌
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日本助産学会誌 27 (1), 48-59, 2013
一般社団法人 日本助産学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204434328960
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- NII論文ID
- 130004505936
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- ISSN
- 18824307
- 09176357
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可