各種消毒剤の金属腐食性と殺菌効果に及ぼす腐食の影響

書誌事項

タイトル別名
  • Metal Rusting by Various Disinfectants and Influence of the Rust on Bactericidal Effects.
  • カクシュ ショウドクザイ ノ キンゾク フショクセイ ト サッキン コウカ ニ オヨボス フショク ノ エイキョウ

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説明

医療用具の一次消毒には様々な消毒剤が使用されているが, 被消毒物に損傷を与えるような消毒剤の使用は控えるべきである. 今回, 金属の腐食性に着目して鉄片, 亜鉛片, 銅片, アルミニウム片, 真鍮片およびステンレス片を対象に, 浸漬消毒に通常使用されない消毒剤も含めた7種の消毒剤によるこれら金属に対する腐食性, および腐食して錆が発生した鉄片に対する消毒剤の殺菌効果の影響とその原因について検討した. 0.1%塩化ベンザルコニウム液は鉄片に対して30分, 0.02および0.05%次亜塩素酸Na液は鉄片および亜鉛片に対して10分, 銅片に対して1時間の浸漬で錆の発生が認められた. 両性界面活性剤は鉄片に対して0.2%溶液中で1時間後, 0.05%溶液では3時間後に錆の発生が認められた. 0.1および0.5%グルコン酸クロルヘキシジン液, 80vol%エタノールおよび70vol%イソプロパノールは, 少なくとも6時間以内の浸漬では錆の発生は認められなかった. 一方, 鉄錆 (+) 片と鉄錆 (-) 片を対象にグルコン酸クロルヘキシジン液, 塩化ベンザルコニウム液および両性界面活性剤の殺菌効果の相違の有無については, いずれの消毒剤も鉄錆 (+) 片は鉄錆 (-) 片に比べ殺菌効果の低下が認められた. この原因として, 鉄錆 (+) 片から溶出する鉄イオン量が鉄錆 (-) 片に比べ多いことから, 鉄イオンが殺菌効果に影響していことが一因と考えられた.

収録刊行物

  • 環境感染

    環境感染 14 (4), 275-279, 1999

    日本環境感染学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (7)*注記

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