日本人女性の現地採用労働市場の拡大とその背景 : 2000年代半ばのシンガポールの事例

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タイトル別名
  • Expansion of Labor Market for Locally Hired Japanese Women and its Factors : A Case of Singapore in the Mid-2000s
  • ニホンジン ジョセイ ノ ゲンチ サイヨウ ロウドウ シジョウ ノ カクダイ ト ソノ ハイケイ : 2000ネンダイ ナカバ ノ シンガポール ノ ジレイ

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抄録

本稿では労働力の需要側,供給側,および両者の媒介項である人材紹介会社に焦点を当て,シンガポールにおける日本人女性の現地採用労働市場の構造を分析した.日本人女性は,以前の海外経験などを通じて培った海外志向や英語志向と,日本において感じる精神的圧力から,20歳代後半に海外就職を決意する傾向にある.その過程で英語圏の中ではビザが取りやすく,治安や生活水準の面に不安が少ないシンガポールが渡航先の1つとして選ばれる.日系企業は経営のローカル化の過程でコストが高い駐在員の絞り込みも進めているが,日系企業や日本人を主要な取引先としている関係上,一定数の日本人を確保しておく必要がある.そこで人件費が割安である現地採用の日本人女性こ対する需要が高まる.人材紹介会社は,現地採用労働市場において労働力の需要と供給を結びつける役割を果たしている.インターネットの普及は海外への就職活動を容易にし,人材紹介会社は大規模な求職者のデータべースを簡単に得られるようになった.駐在員の絞り込みは,人員削減に伴う採用業務のアウトソーシング化という形でも人材紹介会社にとって追い風となった.人材紹介会社はマッチングのノウハウを持っているため,日系企業にとっては適切な人材が得やすいという点でも採用業務を委託するメリットがある。

収録刊行物

  • 地理科学

    地理科学 67 (4), 153-172, 2012

    地理科学学会

参考文献 (40)*注記

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