荒廃ヒノキ人工林の強度間伐が森林水源涵養機能に与える経済効果の試算

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タイトル別名
  • Estimating the Economic Effect of Heavy Thinning on the Water Resource Storage Function of Dense Japanese Cypress Plantations
  • コウハイ ヒノキ ジンコウリン ノ キョウド カンバツ ガ シンリン スイゲンカンヨウキノウ ニ アタエル ケイザイ コウカ ノ シサン

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説明

 荒廃ヒノキ人工林における強度間伐が森林の水源涵養機能に与える影響を調べることを目的として,現地での散水実験・強度間伐のデータに基づき,水資源貯留機能及び水質浄化機能の経済的効果を試算した.気象データ・最大最終浸透能を用いて算出される間伐前後の水資源貯留率の差異を,代替法によって経済的効果に換算した.対象地は三重県度会郡大紀町における荒廃ヒノキ人工林である.2006年冬季に現地で実際に行われた強度間伐に合わせ,間伐前後における立木密度をそれぞれ3,500・1,850本/haとした.林床植被率は,間伐前を0%とし,間伐後3年間かけて100%に回復し,その効果が10年間続くものと想定した.現地散水実験に基づき,間伐前後の林床のもつ最大最終浸透能をそれぞれ20.7・179.8 mm/hとして計算した.その結果,間伐前後の水資源貯留率は,それぞれ0.332・0.471という値を得た.強度間伐実施後の10年間で得られる経済効果は,水資源貯留機能で7,841万円/km2,水質浄化機能で1億3,562万円/km2と試算された.今後の長期的な水文観測データによる検証は必要であるものの,現地散水実験による浸透能測定から,間伐の経済効果を簡易に試算できる手法を提案した.

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参考文献 (33)*注記

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