本州北部に産する絶滅危惧種アオモリマンテマの花の形態と核形態の特徴

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  • Morphological and Cytological Notes on Silene aomorensis M. Mizush. (Caryophyllaceae), a Threatened Species in Japan

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抄録

アオモリマンテマは本州北部の青森県然岳とその周辺地域(白神山地の一部),秋田県男鹿半島,和賀山塊の限られた地域に産するナデシコ科の多年草である。この植物は,垂直に切り立った岩壁に生育し,また生育地も互いに離れていることから集団間に何らかの分化が生じていることが予想され,実際野外調査で和賀山塊産の個体は一見して花が大きいように思われた。そこで青森県および秋田県の5集団を用いて,この種の花形態(特に花冠サイズに着目)ならびに核形態を調査した。その結果,秋田県の集団(男鹿,和賀山塊の3集団)は花弁の幅が確かに青森県の集団(然岳,暗門)より広い傾向にあるが,全体としては連続した変異であることがわかった。また,染色体数は2n=72で,集団間に核型においても違いは認められなかった。この染色体数はこれまで報告された日本産種のなかではもっとも多く,同属の染色体基本数x=12を考慮すると倍数性(6倍体)由来と推定された。形態比較や染色体のデータに基づいて近縁と考えられるタカネマンテマとの関係についても若干の考察を試みた。

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