双子葉植物の葉の形態形成 : モデル植物, アラビドプシスを用いた遺伝学的アプローチ

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タイトル別名
  • Leaf development in dicotyledons : A genetic approach using the model plant, Arabidopsis
  • ソウシヨウ ショクブツ ノ ワ ノ ケイタイ ケイセイ モデル ショクブツ ア

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説明

地上部を構成する基本構成要素である葉の形態形成過程について, 特に双子葉植物を材料としてこれまでに報告されてきた研究を概説し, モデル植物アラビドプシスを用いた最新の研究成果について解説した。葉の形成機構を支配している遺伝子群を解明することは, 植物全体の形態形成を理解する上で重要である。植物系統学上も, 分類基準として用いている葉の形質についての理解にも重要な手がかりを与えるであろう。しかしこれまで双子葉植物においては, その形態形成過程で細胞の分裂と伸長が同所的かつ同時的に行なわれるため, 葉の発生過程は非常に複雑な系として取り扱われてきた。しかし, 形態形成の各過程に関わる変異株を単離することができれば, 複雑な現象を対象にした場合も, それを司る遺伝学的な素過程を抽出することが可能となる。アラビドプシスは遺伝学的研究の材料として多くの優れた点を持っており, 発生遺伝学的解析に好適のモデル植物である。近年, アラビドプシスから単離された多くの変異株に対し, この方法を用いた花の形態形成過程の解析が行なわれ, 成功をおさめた。筆者らはこのアラビドプシスを用いた発生遺伝学的を葉の形態形成に応用し, これまで葉の形態形成に関わる多くの変異株をこれまでに単離・解析してきた。それらの一部の変異株の解析の結果, 細胞の極性伸長と無極性伸長が葉の形成を制御していることが判明した。また, 葉の縦幅と横幅の二方向において独立に作用する細胞の極性伸長が存在することも明らかになっている。今後, より多くの変異株を単離し解析することで, これまで解析が不可能であった複雑な葉の形成過程を明らかにすることが, 可能となるであろう。

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