北海蓮産新植物

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タイトル別名
  • New Plants from Hokkaido
  • 北海道産新植物〔英文〕
  • ホッカイドウサン シン ショクブツ エイブン

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抄録

シリベシナズナ(Draba Igarashii S. WATANABE) 後志國,大平山山麓泊川で採集された植物である.モイワナズナ,ソオウンナズナに似るが,前者とは花の小さいこと,花柱の短かいこと,単角には単純毛(時に双毛)を散生することにより區別出来,後者とは,ロゼット葉の形,大きさなどより明瞭に區別出来る.花莖,葉とも似た種より毛が少ない.シラトリオトギリ(Hypericum Tatewakii S. WATANABE) 石狩國,白鳥山蛇紋岩崩壊地より發見された植物である.マシケオトギリ,サマニオトギリに似るが,前者とは花の小さいこと,葉脈および明點が非常に明瞭なること,葉質が非常に厚いことより,後者とは,花の小さいこと,萼片の形,明點が非常に明瞭なることより區別出来る.クロテンシラトリオトギリ(Hypericum Tatewakii S. WATANABE var. nigro-punctata S. WATANABE)本變種は白鳥山草本群落中に生ずるもので,葉は卵状被針形,黒點が多く,明點がまれなこと,縁邊の黒點は大小あること,萼片の形および萼片に黒點のあることにより區別出来る.オオヒラウスユキソウ(Leontopodium hayachinense HARA et KITAMURA var. Miyabeanum S. WATANABE)故宮部博士が北大の標本庫に L. discolor BEUV. var. ohirense MIYABEなる未發表名を残していられた.これは山本岩亀氏の採集によるものである.筆者は1954・55年,後志國大平山を採集多くの個體を得た.館脇博士は,これに對してL. Miyabeanum TATEWAKIなる學名を与えられたが,観察した結果,非常に變異があり,ハヤチネウスユキソウに非常に近い形もあるため,同種とするのが適当と考える.莖葉が稍密に生ずる點,葉形が丸みを帯びる點,花冠は通常無毛で花筒基部に毛を生ずる點で同種と區別出来る.尚山本氏採集の標本は現在京大理學部標本庫に有る.京大標本庫の貴重なる標本の閲覧を許され,本種の研究に對して色々と便宜を計って下さいしました京都大學北村博士に對しまして深き感謝の意を表します.尚研究に際しまして,北大農學部館脇教授には種々なるご指導を垂り,採集については北大農學部林學教室五十嵐恒夫氏,前黒松内営林署長京野四郎氏,深川営林署長木暮保氏の援助によること多くここに深き感謝の意を表します.

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