琉球列島産羊齒類について

書誌事項

タイトル別名
  • Notes on the ferns from the Loochoo (Ryukyu) Islands
  • 琉球列島産羊歯類について〔英文〕
  • リュウキュウ レットウサン シダルイ ニ ツイテ エイブン

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説明

1.ハマハナヤスリ 1953年の9月,西表島古見の海岸で採集,八重山群島新産.分布の南限と思われる.従来琉球では沖縄島及び久米島にのみ知られていた.2,コヒロハハナヤスリ 1938年12月に沖縄島恩納村で(天野鐵夫),1952年4月に尖閣列島の魚釣島で(多和田眞淳),1954年10月に西表島組納で(黒島寛松)採集された.WALKER博士及び園原咲也氏等によると(沖縄植物誌,1952),琉球には3種のハナヤスリが産することになっている.即ちハナヤスリO. mulgatum L. ハマハナヤスリO. littolare MAK. ヒロハハナヤスリO. reticulatum L.である.この中で,O. reticulatum は琉球には分布していないようであり,O. vulgatumの栄養葉の發育の良いもの,或はコヒロハハナヤスリO. petiolatum HOOK.の誤認ではないかと思われる.3.マルバコケシダ センカクホラゴケ(多和田) アジアの熱帯に廣く分布している小形のゼニゴケシダ屬の植物である.東大の植物學教室には三宅先生が1899年に臺灣の島来で採集された標本が2葉あるだけである.1752年4月多和田眞淳氏が尖閣列島で採集した.琉球新産,分布の北限である.4.シノブホラゴケ 1953年9月西表島浦内川上流マリヨドの瀧付近で採集.アジアの熱帯に廣く分布する大型のハイホラゴケ屬植物で,臺灣まで分布しているが,琉球には知られていなかった.リュウキュウホラゴケTrichomanes liukiuense YABEはこれに関係のある種と思われる.又東大植物學教室の標本で,伊藤博士が西表島で採集されて(1936年),Trich. naseanum CHRISTと同定されたものは,このシノブホラゴケであると思う.5.コケハイホラゴケ(新稱) 臺灣のVandenboschia parva COPEL.は西表島ヒナイの瀧付近(伊藤洋博士1936年,西田1953年),及び沖縄島國頭村(津山尚博士1935年)にもある.まだ報告されていないので,コケハイホラゴケと和名をつけておく.琉球臺灣の特産種であり,ハイホラゴケの極小(1〜2.5cm)のものと思えばよい.6.シンヤリノホラン 沖縄島にのみ知られていた琉球特産種であるが,1953年9月石垣島で採集した.八重山群島新産.7.ウスバイワヒトデ 1936年伊藤洋博士により西表島の特産種として發見されたもの.1953年10月宮古島平良市郊外で採集した.8.シンテンウラボシ 1953年9月,八重山群島新産種として石垣島藁田で採集.臺灣から九州南部まで點々と産するが,産地はごく限られている.9.クシノハシダ 1953年10月,石垣島藁田で採集.今までに八重山群島で採られた記録は無い.鹿児島県南部まで點々と分布している.

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