被害木の炭化によるマツ材線虫病の防除

書誌事項

タイトル別名
  • A practical protection from pine-wilt disease through conversion of infected trees to charcoal
  • : 媒介昆虫抑制のための戦略と秋田の海岸マツ林における取り組み
  • : strategy for reduction of disease-vectors and a case for a coastal pine forest, northern Japan

抄録

秋田市の海岸林でマツ材線虫病被害木の炭化による防除活動を開始したので,その根拠を検証するとともに,新しい防除戦略を提案した。北東北のマツ材線虫病は,被害木が年間を通じて発生し,マツノマダラカミキリ成虫は夏枯れ被害木のみに産卵するという特徴がある。調査地ではマツノマダラカミキリの羽化脱出は6月後半から始まっていた。したがって効率的な防除のためには,7月以降に衰弱した夏枯れ被害木を特定し,これを翌年の羽化脱出期までにもれなく処理してマツノマダラカミキリの個体数を抑制することが重要となる。またマツノマダラカミキリの幼虫は,被害木の樹冠内の細い幹や枝に多かった。よって確実な防除のためには末木枝条を残さず処理する必要がある。炭化防除法には,枝条が焚き付けに利用されることでもれなく処理される利点がある。また今まで捨てられてきた被害木を木炭,木灰,木酢液という生物資源として再利用する点で資源循環的でもある。さらに,炭焼き自体にはボランティア参加者を自然増加させる効果があり,定期的に炭焼きを行うことで被害の早期発見等に市民の監視が効く可能性もある。今後,防除効果をモニタリングする必要がある。

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204460697216
  • NII論文ID
    110009607260
  • DOI
    10.18982/tjfs.10.2_82
  • ISSN
    24241385
    13421336
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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