骨組織形態学的方法による骨小片の人獣鑑別:東北北部の平安時代遺跡から出土した焼骨の分析

書誌事項

タイトル別名
  • Histomorphological Discrimination between Human and Nonhuman Bones of Fragmentary Osteal Remains: Analyses of Burnt Bones from the Ancient Heian Site in the Northern Tohoku District, Japan
  • ホネ ソシキ ケイタイガクテキ ホウホウ ニ ヨル ホネ ショウヘン ノ ジンジュウ カンベツ トウホク ホクブ ノ ヘイアン ジダイ イセキ カラ シュツド シタ ショウコツ ノ ブンセキ

この論文をさがす

抄録

骨の組織形態学的検討は,動物種の同定に有効な方法である。青森県朝日山(2)遺跡から平安時代の焼骨片が出土したが,小片のため肉眼形態観察では種の同定が困難であった。そこでヒトかそれ以外の動物なのか鑑別することを目的として,出土四肢骨骨幹部片4点を薄切し,骨組織形態の観察と計測的検討を行なった。比較資料として,ヒト・クマ・ウマ・イノシシ・ニホンジカ・カモシカ・ウシの四肢長骨を用いた。比較資料の骨組織形態計測の結果,ヒトのハバース管の面積(H.Ar)とオステオンの面積に対するハバース管の面積の比(H-On示数)は他の動物より有意に大きい傾向があり,人獣鑑別の指標として優れていた。朝日山(2)遺跡出土焼骨について,焼成による収縮の影響を考慮しながら検討した結果,出土骨試料4点のうち3点は人骨とみなしてさしつかえないと考えられた。残る1点はヒトあるいはウマの可能性があるが,どちらかといえばヒトに近いと考えられた。出土焼骨は火葬された人骨と推察され,平安時代の青森地方に火葬習俗が存在した可能性が示唆された。<br>

収録刊行物

参考文献 (75)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ