愛媛県重信川に造成された氾濫原生息場所における魚類群集

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タイトル別名
  • Fish assemblages in floodplain ponds created by a habitat rehabilitation project in the Shigenobu River, Ehime Prefecture.
  • エヒメケン シゲノブガワ ニ ゾウセイ サレタ ハンラン ゲン セイソク バショ ニ オケル ギョルイ グンシュウ

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抄録

愛媛県松山市近郊を流れる重信川の中流域には小規模な灌漑用湧水池が多数点在している.これらの湧水池は,水田や河川と用水路でつながっており,重信川周辺における氾濫原水域の代替生息場所として機能してきた可能性がある.しかし近年,水路のコンクリート化等により,その環境は大きく変わりつつある.そのような中,国土交通省による自然再生事業の一環として,重信川の河道近傍において 2006 年と 2007 年に,それぞれ,湧水池(松原泉)と湿地(広瀬霞)の造成がなされた.本報告では,造成直後の 2008 年における,これら 2 つの造成水域の環境特性と魚類群集を,10 個の既存湧水池と比較することにより,魚類の生息場所としての造成水域の特徴を検討した. 樹冠被度,底質,カバー(魚類の隠れ場所),岸辺の状態,および水位の安定性を計測して比較したところ,造成水域の特徴として,松原泉,広瀬霞ともに水位の安定性が高いことが示された.魚類調査の結果,松原泉では 13 種の魚類が確認され,既存湧水池の中でも最も生息魚種が豊富な湧水池の一つであることが示された.広瀬霞では 9 種の魚類が確認され,既存湧水池で見られる主要な生息魚種は移入していることが示された.これらのことより,今回造成された2 つの水域は,魚類にとっては良好な生息場所として機能していると考えられた.ただし,広瀬霞ではオオクチバスの生息が早くも確認され,今後,その管理には注意を払う必要があると考えられた.

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参考文献 (11)*注記

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