海鳥のモニタリングのための海岸漂着海鳥調査と海上センサス

  • 風間 健太郎
    名城大学農学部環境動物学研究室 北海道大学大学院水産科学院資源生態学領域
  • 伊藤 元裕
    北海道大学大学院水産科学院資源生態学領域
  • 富田 直樹
    名城大学農学部環境動物学研究室
  • 新妻 靖章
    名城大学農学部環境動物学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Beached bird surveys and ferry census for the seabird monitoring
  • カイチョウ ノ モニタリング ノ タメ ノ カイガン ヒョウチャク カイチョウ チョウサ ト カイジョウ センサス

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抄録

海洋における人間活動の影響によって,海洋生態系の重要な構成員である海鳥は現在その個体数を大きく減少させている.これら海鳥の保全のためには,その個体数や繁殖成績がどのような要因の影響を受けて変動しているのかを詳細に理解する必要があり,その繁殖や個体数モニタリングは必要不可欠である.本稿では,簡便な海鳥モニタリング調査である海岸漂着海鳥調査および船舶からの洋上分布調査(海上センサス)の手法を紹介し,その意義について解説する.海岸漂着海鳥調査は,一定距離の海岸を歩き,海岸に打ち上げられた海鳥の死体などを記録するという,簡便で市民が容易に参加できるモニタリング手法である.海上センサスは,調査船,商船やフェリーを用いて海鳥の洋上分布や行動についての調査するモニタリング手法である.特にフェリーによる海上センサスは,双眼鏡などがあれば誰でも実施可能な調査であるため,海岸漂着海鳥調査と同様に専門家でない市民でも実施可能なモニタリング手法の一つと言える.現在,海鳥がとくに頻繁に利用する海域(海鳥重要生息地)を特定する試みが世界中で進んでいる.海上センサスは,この海鳥重要生息地の特定において重要な情報を提供する.継続的な海岸漂着海鳥調査は,特定された海鳥の重要生息地において油汚染や海鳥の混獲などが発生していないかを継続的に監視する役割を担う.海岸漂着海鳥調査や海上センサスなどの市民参加型の調査が広く普及し,各地で定期的に,継続的に実施されることが期待される.

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参考文献 (59)*注記

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